推理小説のような出来事

私が推理小説、と言えるものに出会ったのは小学校4~5年の頃、子供向けに改変されたエラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」でした。

中学生の頃はSFに凝っていて日本人作家としては眉村卓なんかをよく読んでいました。高校時代は部室に忘れてあった「ようこそ地球さん」で星新一にはまりました。中学2年の時に友人に勧められた「ライオンと魔女」ですっかり「ナルニア国ものがたり」の虜になり、ここから別世界ファンタジーものを読むようになり、大学生の頃にバイトを始めてやっと自由になるお金ができて好きなファンタジーを買い集めるようになりました。

私の一番好きな本は「ナルニア国ものがたり」ですが、他にはリンドグレーンの「はるかな国の兄弟」がメッチャ好きです。映画ではたまたまレンタル(結婚して引っ越してきてしばらくした頃近くにレンタルビデオ屋さんができて当時の相場としては破格の格安で借りることができた)で借りた「ミオよ私のミオ」の歌がメッチャ気に入っています。

自由になるお金ができて買い集めた本は他にアガサ・クリスティのシリーズでした。クリスティの本は中学時代に読んだ「火曜クラブ」がきっかけでした。そして、高校2年の時に「ルパン三世」の映画を見に行ったのですが、その時にセットになっていたのが「ナイル殺人事件」だったのです。これをきっかけにアガサ・クリスティ熱が再燃し、本を買い始めました。その後、ブックオフが登場したおかげで全作品コンプリートすることができました。

高校、大学の地代は私は読む本はほとんど「翻訳もの」ばかりでした。日本人作家のものを読むようになったのは、実はかれこれ20年以上前、同人オバサンになってからです(笑)

所謂、BL道の王道と言える「タクミくんシリーズ」「富士見二丁目交響楽団シリーズ」「間の楔」などを読むようになって変な言い方ですが「日常的なものも読める」と気づきました。

私は本の中に「ファンタジー」「非日常」を求めていたので、あまり日本的な、と言うか身近な感じのするお話を読むのが苦手だったのだと思います。だから子供の頃は童話、思春期にはSFやファンタジー、そして大人になっても外国の推理小説

しかし、BLがきっかけで「京極堂シリーズ」を読むようになり、これをきっかけに「宮部みゆき」の推理小説、時代小説もほぼ網羅し(この人のファンタジーはちょい苦手)そしてこの1年位でやっと「東野圭吾」にたどり着きました(笑) 宮部みゆきは2年くらい前のものまでは全部買っていましたが、最近はひたすら図書館で借りています。東野圭吾は最初っから図書館オンリーで今も去年の8月に予約した本が残り30人程度になっている状態です(笑)

アガサ・クリスティもそうですが、私は家にある本はたいてい何度も読み返します。中でも一番好きなのが「オリエント急行の殺人」でこれは映画も見に行ったことがあるし、その後テレビで放映された映画もドラマも見ています。そして少なくとも本も5回は読み返しています(笑) 「そして誰もいなくなった」も同様です。

もともと、推理小説が好きな土台はできていたので、宮部みゆき東野圭吾も読めるようにはなりました。

でも、どこかで現代の日本が舞台だとどうしても、違和感を感じてしまいました。

それは、現実にはそんなことない、と言う思いなのかな? と思ったりしていたのですが、でも実は現実って まさに「事実は小説より奇なり」ってこともあるのかも知れません。

 

私はとても平凡な人生を歩んできました。一番の修羅場?は実家に「居空き」が入って、私のかばんが盗まれたことくらいでしょうか。実はその時に限って私としては大金の5万円ほどがお財布に入っていたし、クレジットカードや保険証、そしてカメラ・・・も。間抜けなことに母はこの時以外にも数回、空き巣に入られていました。私のかばんは見つからず、その後しばらくは保険証なんかを悪用されて借金とかされていたら、と不安で不安でたまらない日々を過ごしました。

母が警察を呼んだのはその時と、宝石箱が空になっていたときの2回です。こういうのって本当にタイミングなんでしょうが、母は宝石箱を買って、それまで1個ずつバラバラに保管してあった宝石を全てそこに並べてしまったのでした。ドロにすれば美味しかったでしょうね。軒並み全部、あっと言う間に盗めたのだから。宝石箱は空になっていたようです。もともと母はそれほど宝石など持ってはいなかったのですが、祖父が米寿の時にお祝いとして母たち娘に純金の指輪をプレゼントしていて、かなりの価値があると嬉しそうにしていました。さらに、私の夫の姉の家が宝飾店をしていたのでちょくちょく、宝石を買うようになっていたのです。それらを根こそぎ持っていかれました。さすがにこれはすぐ気づいて警察に届けたのですが。

それ以外に、近所の人が「神社に落ちていた」とバッグを届けてくれたり、空き巣でつかまった泥棒が「ここの家にも入った」と言われて判明したり・・・

当時はお店をやっていたのでフラッと入り込んでも客のふりをすれば良かったのだとおもいます。実際、私が盗まれた時、そのお店の横の部屋でのんきにテレビを見ていたのです。かばんはお店から家に入るのぼりがまちに置いていました・・・

さらに母はいつも現金を引き出しに入れており、お客さんから受け取ったお金も何のためらいもなく目の前でポイッとそこに入れていました。本業は卸業なので小売店から集めたお金もそこに入れておきます。父が生きていた頃からあまりキチンとお金は管理していませんでした。父は有り金持って飲み屋に行ってしまう人だったので、母はあまりお金の出入りを把握していなかったのです。父が入院して初めて、仕入れをする時に銀行に走らなくてすむようになった、と

いつも仕入れのたびにお金が足りなくなっていたので、おそらく父は相当なお金を使っていたのだと思います。ついでに人が良かったので随分、友人知人に貸してたりもしたようですが、結局、父の死後は有耶無耶になりました。

結局わたしは、そういうリアルな人間模様を見たくなかったのだと思います。恋愛小説も一切読んだことがなかったし恋愛映画も大学時代の友人が「どうしても見たい」とつきあわされた「ある愛の詩」しか見たことがありませんでした。(ちなみに自分のお金で初めて見た映画は中学1年のときの「ローズマリーの赤ちゃん」でした・笑)

 

いずれにしても私にとっては小説も映画も「非日常」で自分とは関わりのない世界のことが好きでした。と言うか、自分の周りには非日常なんてものはないと思っていました。

 

唯一、身近な事件といえば事件は大学生の頃、バイト先の近くで警察官が拳銃を奪われるという事件でした。

その日私はシフトには入っていませんでした。頼まれて別のお店の応援に行っていたのですが、バイト終わりに店長が車で送ってくれたのですが、パトカーだらけで何だったのだろう?とは思っていました。そして翌日、新聞でその事件を知って、本来のバイト先の近くだと知ってびっくり。

その後、バイトでシフトに入った時に、見るからにヤのつく人のような人相のオジサンがやってきて「ちょっと店長出して」と。接客バイトの私とベーカーバイトの男子とマネージャー(もしくはサブマネージャー)の基本3人体制の小さなお店で、暇な時間帯はバイト2人だけ、ということもよくありました。その時はマネージャーがいたので慌てて呼びに行きました。「なんだか訳がわからないけれど怖い人が来た!!」と(笑)

そしたら警察の方でした(笑) で、例の事件の捜査でした。マネージャーはその日のアリバイを聞かれていたのですが(私の接客する目の前のカウンター) その時間帯にどこにいたのか、と言われてマネージャーがソワソワし始めました。本当に見るからに明らかにソワソワなんです。理由は・・・勤務時間中に 雀荘に行っていました。私は内心「えええええ!!!」でした。それまでも暇な時間帯に「休憩行ってきます」とか行って出かけることがあったんだけど、それも?と思ってしまいました。実際、そんなようなことをゲロっていました。その時のメンバーとかも聞かれていたようでした・・・ なんか、ホント脱力しました。

その後、お店の常連さんがやってきてその夜のことを話してくれたのですが、彼はアマチュア無線をやっていたのですが、それが違法かどうかはわかりませんが、事件直後に警察無線を傍受して、ホントすぐ近くだったのでバイクで様子を見に行ったそうです。でも、あまりに警察が多かったのでUターンしたら「不審なバイクが逃走中」と無線に入って、それからもう必死で逃げ切った、と・・・ しょえ~~~~~!! って感じでした。

その後、この犯人は逮捕されたのですが、実はこの犯人に関してもう一つ、ちょっとだけ関わりがありました。この犯人はこの事件以前に女性を殺していたのが判明したのですが、その女性を殺した犯人として父の友人がマークされていたんだそうです。彼は絶対にやっていない、と言い張っていたのですがベテラン刑事が「おまえが犯人でなかったら俺は警察をやめてやる」と言っていたそうです。父の友人は本当に途中からノイローゼのようになり、一時的に「自分が犯人なんだろうか?」というようなところまで追い詰められていたそうです。真犯人が捕まってやっと無実がはらされましたが、まさに松本サリン事件の時の河野さんの苦しさがわかる、と言っていました。そう言えば地下鉄サリン事件で亡くなられた方の一人が母の友人の弟さんでした。彼女は結構誰にでもペラペラその話をしていましたが周りは反応に困っていました。あまり大きな事件だったので 

事件に関わると話したい気持ちと隠したい気持ちがあるのだと思いますが、正直、私のような感じだと、自分の人生の中のちょっとした大事件、という程度で話のネタにできる気はします。

一回りほど年上の友人がいるのですが彼女は北海道庁爆破事件の時に道庁に勤めていたそうです。正直私はその事件を知らなかったのですが後で調べてみたら結構な事件でした。

私のニアミスした事件も父の友人もすでに亡くなっていますし、おそらく他の地域の人だったら忘却の彼方にあるものだと思います。

なのでワタシ的にはネタなのですが、でも、考えてみればそれに関わった、犠牲になった人からすれば決して軽々しく話していいものではない気もします。

そもそも冤罪というのは、犯罪をしても逃れようとするものがいるから起こることで、その逃れようとする心理とか背景を表しているのが推理小説なのかな、と思ったりします。

もちろん本当にあった事件とは別物ですし、なんとなく救いがあったりなかったりで読後感はさまざまですが、人間模様を知るのには勉強になります。

とは言っても私はまだ推理小説以外の日本の小説を読むだけの準備はできていないようです。昔「ノルウェイの森」に挑戦して挫折しました・・・

 

小説は非日常だから楽しめる、と言うのが結局、私にとっての重要なポイントのようでした。

恋愛ドラマとかトレンディドラマとかに一切ハマれなかったのもそういうことだと思います。