勉強嫌い

娘に「お母さんって勉強嫌いだよね。私は子供の頃から感じてたよ」と言われました。

私は子供の頃からしっかりと自分が勉強が嫌いだという自覚はあります。母方の伯母だけが「おねえは勉強が好きだったよね」と言っていて、私はそう言われたのが初めてで驚きました。その時はちょっとだけ「そうかも?」と思ったのですが、この60年近い人生の中で一度も「勉強するのが楽しい」「勉強するのが好き」と思ったことがないと気づきました。

そう、伯母が「おねえは勉強が好きだった」と言うのはやはり、私を下げるための言い訳なんだろうな、と思いました。

子供の頃、私は勉強しなくてもそこそこいい成績が取れていました。それが中学に入って「勉強しないといい成績が取れない」と言う現実を突きつけられました。でも、やっぱり勉強していないくても学年で上位2割の中に入っていました。通知表はオール4くらいでした。当時、オール4であれば学校群の高校を受けることができたので、まあボンヤリと普通にしていれば普通に普通科進学校に行けるだろうと。

私はコツコツ努力することも苦手でテストはいつも一夜漬けでした。しかし、高校受験が迫ってきた時、学校で課題として渡された冊子をやることができない、と言うか、学校で先生が点検をするのですが、先生が全部のページを見ないと知っていたので(当時は1クラス45人で、担任の先生は学年主任で忙しかったので、最後のページだけに点検のはんこを押している感じだった)、毎週30ページくらいの分量があったとしたら、期限のページの前の3~5ページだけをなんとか埋めて提出していました。私は真面目で先生受けの良い生徒でしたので、なんとそれで一度も叱られることなく課題をクリアしてしまっていました。

そして高校は思いっきりレベルを下げて普通科をやめて、旧制中学の流れを引く進学校にある職業科に進みました。学校の名前をきくと誰もがすごい!と言う学校でした。その当時の私の成績でも運が良ければ受かるかも、と言う感じでした。実際、中学時代はそこそこの成績はあったので多くの人がその進学校の方に通っているのだと思っていました。私にも変なプライドがあって「すごいね」と言われると自分の実力以上に見られるのも嫌なので「でも○○科なんだ」と自ら名乗っていました。今でも学歴を聞かれると必ず高校名に「○○科」を付け加えています。

その科は学年に一クラスだけだったので3年間、クラス替えがありません。私は同じ中学から行った人が一人もいなかったので全く新しい環境になることがワクワクしていました。

そこでクラス委員を決める時、当然ですが、みんな知らない人ばかり(でも、その高校の近くの中学からは4~5人のグループが2,3あった) クラス委員に立候補する人もいませんでした。そしたら担任の先生(その年から替わってきた30代独身女性)が「あなた やりなさい」と私を指名。その時の私は本当に嫌なことでも「No」が言えない人でした。でも、実は小学校の時からなぜか先生に気に入られて学級委員を毎年やっていたので、ある意味、できないことはないという自信もあったりしたのです。で、はっきりと断らずにいたら、担任が私の隣のYさんに「お隣だからあなたもやると良いわ。二人でやってね」と。そのYさんは実はとってもリーダーシップのある人で、人間性だけをとったら彼女こそが学級委員の本命だったのかもしれません。彼女はあっさりと「わかりました、二人でやります」と私にニッコリ。という事で高校入った最初のクラス委員を彼女とやることになりました。その後、中間テストがあったのですが、私はいつもどおり、お勉強が苦手で勉強もせず、しかも中間テストでも中学の時の期末テストほどの科目数、さらにその高校が2期制だったためにテスト範囲も広い・・・ この状況でなんとクラスで2番の成績だったのです。正直、中学時代は90点以上ないといい成績、とは言えなかったのに、得意の国語のテストが70点という有様で思い切り凹んでいたら、それが最高点だと言われたり・・・ 

で、結局、また「勉強しなくてもそこそこいい成績が取れる」状態が普通になってしまいました。(

あとで担任がいきなり私をクラス委員に指定してきたのは入試の成績も良かったせいかもしれない、と思ったりもしました) 実際、大学も推薦で募集締め切りの3日前に願書を出して「面接」と「作文」のみであっさり受かってしまいました。漠然と受験勉強しなくちゃいけないとは思っていたけれど「とりあえず公立の専門学校くらい、かな」とボンヤリ考えていただけで全く勉強はしていませんでした。それでも「模試」くらい受けてみろ、と言われて受けた模試は正直言って全く何が書かれているかわかりませんでした。成績もひどかったと思いますが、目標大学があったわけでもないので受けた科目も英数国は普通ですが、理科と社会って何を選ぶの? 状態でした。そもそも職業科なので 高3でも英語は週に3時間のリーダーのみ、グラマーなんて科目はありませんでした。数学も数Ⅰとペラッペラの本を使った数Ⅱ?数Ⅲ? とにかく普通科はやらない科目でした。理科は1年で化学、2-3年で生物。社会は1年で地理、2年で倫社、3年で政経、日本史だったと思います。3年の時の日本史の先生が「普通科は週に4時間だけどこの科は3時間でやらなくちゃいけないから大変」とか言っていましたが、テスト問題は普通科と共通で、それでも理系クラスの平均よりうちの科の平均が上だったと驚いていました。

 

そう、うちの科はプライドの高い学校群の普通科の面々からするとバカの軍団という扱いで、それはもう酷い差別がありました。女子しかいない科なのですが、体育祭は普通科と一緒にグループ分けされます。うちの科を合わせても圧倒的に男子が多い学校だったので、後夜祭の時のフォークダンスでは男子のかなりが「女性役」をやらされて嫌がっていました。私が体育祭で遭遇した不愉快な体験はとある男子が何かを説明していても相手の男子がなかなか理解できなかった時にその男子が「お前頭が悪いな、○○科だろ!」と。その後すぐに私に気づいて「マズイ」と言う顔をしていましたが、そういうのが彼らの中では日常会話だったのだと思います。とにかく、あれほどあからさまに見下げられる経験というのは初めてのことでした。

 高校3年の時、普通科と同じ問題の実力テストがありました。うちのクラスは理科は生物(2,3年でやっていた)で受けるのですが、私は生物が苦手で化学で受けてもいい、と言われてクラスで2人だけ化学を受けました。化学は1年でやったきりでしたが、苦手な生物よりはいいだろう、と。普通科の化学の平均点は40点そこそこだったらしいのですが、私は67点でした(ハッキリ覚えている・笑) さんざっぱら私たちを馬鹿にしていたあなたがたのうち、半分どころか相当数が、1年の時に化学をやっただけの私より成績悪いんですけど? (彼らは文系は2年、理系は2-3年でやっていたと思う) と思いっきり私たちを馬鹿にしきっていた普通科の面々を罵ってやりたい気分になりました。もちろん、そんな度胸などありもしませんが(笑)

そんなこんなで、とうとう私は必死になって勉強する、と言う経験をしないままでした。実は教員採用試験は受けましたが、このときももちろん勉強などしていなかったのでアッサリ落ちました。

ただ、教員採用試験を受ける段階で私はもう結婚が決まっていたので、そもそも受かっても困るなとか・・・(ド厚かましい!!) 言い訳三昧です。

その後、お勉強とは縁もなく、と言いたいところですが、保険のおばさんをすることになり、試験を受けました。子供を保育園に入れるために仕事をしなくちゃいけなくて、申し込みの段階で「採用予定」と書いてくれる職業が保険のおばさんしかなったのです。で、これはどうしても受からなくちゃいけないとお勉強しました。しかし、これもよく考えれば短期決戦でした。1ヶ月ほどの研修があって、その後試験。これは70点以上で合格だったのですが、採用されてから田舎の支部だったので「96点なんて点数をとった人を見たの初めて」と言われました。で、街中にある「職域開発室」と言う主に官公庁を担当職域にする所に送られました。ぶっちゃけ言って、ペーパーの成績がよくても営業の成績とは全然別物です。私は県庁が担当でしたが他社も職域開発室のような部署で制服がある新卒の子たちばかりでした。私は30ちょっと手前だったので彼女らに比べるとベテランに見えたそうです。結果として何が起こるかと言えば「あなたの説明で保険の大切さがわかったので入ることにした。でも○○の若い子が成績が取れないとカワイそうなので彼女の方に入る。あなたはいくらでも取れるでしょ」と 多分にリップサービス、お断りの常套句なのかもしれませんが、でも本当に後は判子を押すだけ、と言う状態だった人に1日でひっくり返された時に「彼女の上司って人が来て一緒に泣かれて・・・ゴメン・・・」

そんなのあり? 私だって新人で、その1件だけがその月のなけなしの契約だったのに!!

うちは当時、業界2位、その彼女のところは業界3位でお客さんからすれば、まあ、どっちでもいいや、ということだったと思います。正直、保険のおばさんは中々ハードで、色々、人生経験を積ませていただきました。そして、県庁の担当だったおかげで、また違う道がひらけたのも事実です。ある日、たまたまエレベーターに高校の時の担任の先生の旦那様を見かけました。その先生の授業も受けたことがあります。普通だったら声も掛けられない性格ですが、2年近く保険のおばさんをしていれば根性もつくのか、思い切って声をかけ、世間話をして「今何やってるの?」と言われ「保険のおばさんをしているのだけど辞めたくても中々辞めさせてもらえなくて困っている」とそう言ったら、その話を奥様(高2の時の担任)にしたら「あの子は教員免許持っているはず」と言う話になって、なんと母校の非常勤講師の話を持ってきてくれました。もう私は渡りに船! とその話に飛びつき、それから20年ほど、なんだかんだと曲がりなりにも学校の先生をすることとなったわけです。非常勤講師は大学卒業してから2年ほどやっていたことがあるので全くの未経験ではありませんでした。この時も結婚が決まっていたので就職しないでいたところ、大学卒業する3月になって突然「非常勤をやってくれないか」と高3の時の担任の先生からオファがありました(この先生は高1の時の担任で私をクラス委員にした人) 実は2つ下の妹も同じ高校の同じ科に行っていて、私よりさらに成績の良い子だったので私たち姉妹の評価は高く、その時の学年主任が妹が高3の時の担任だったこともあり、トントン拍子に決まりました。保険会社は中々辞めさせてくれませんでしたが、私が別の仕事を始めてしまったら、夏のボーナスが出る頃に突然退職を認めてくれました。実はそのボーナスが反映される月は辞めるのがもったいないくらい突然、保険が何本か売れた時でした。でも、とにかく辞めたかったのでボーナスは捨てました。(実質3ヶ月位はずっと「欠勤」状態でしたが成績だけは出さなくちゃいけないので、3ヶ月位 自分で「一時払い養老」保険の最低ラインのものに入っていました。今思えば、この一時払い養老、今からはとても考えられない利息が付きました。普通は10年満期ですが、10年だと最低金額では1件にならないので15年満期にしたのですが、この15年が満期になった頃には世の中の金利は0.何%でしたし、昨今は100万定期で預けても利息数千円どころか税金取られて数百円もザラです。倍にはならなかった気もしますがそれに近かったので怪我の功名と言えるかもしれません。

こうしてある意味、真剣に勉強しなくてもなんとかなる日々でした。さすがに非常勤講師をする時には資料集めをしましたが、でも自分の科目だけの狭い範囲ですし、毎年ほぼ同じことをやるし、いざとなれば指導書もありで、あまり勉強という意識はありませんでした。下調べや資料作りにそれは時間を取られましたが、ある意味「知っていること」をなぞっているので、勉強というのとは違う気がしています。

 

じゃ、何を取って勉強というのかと言えば、例えば英会話、と言うか英語。高校時代、週に2時間のリーダーしかやっていないので圧倒的に語彙が不足していてそもそも私は構文が全くわかりません。グラマーは授業としてはやっていないけれど、夏休み等の課題で「英語の構文」と言う本をやらされていました。休み明けに「宿題テスト」があるのですが、私たちは普通科ではなかったのでさほど重視されませんでした。なので、当然、私の性格からすれば「やっていない」のです。

大人になって「英語が話せるといいな」と思ってはみたものの、やはり勉強のできない私は自力では無理で結果として英会話スクールに通いました。でもたまたま少人数クラスのメンバー私を入れて4人でしたが、一人いた若い女の子以外は全くの偶然ですがほぼ同い年でした。(私以外の二人が同じ学年で、そのうちの1月生まれの人が私と同じ生まれ年) 言ってみればおばちゃんの馴れ合いで、若い女の子だけが意欲的で気がつけば一人で先生を独占している状態で、毎週、彼女の近況報告しか聞かなかったな、と言う感じでした(笑) それでも気が合ったせいかなんだかんだで10年ほど続けました。それなのに英語はさっぱりです・・・ で、この教室でほぼ毎週 宿題が出されるのですが、毎回、行く当日になって慌てて宿題をやっている私を見て娘(当時小学生~中学生)は 「お母さんが勉強嫌いなんだ」ということを悟ったのだそうです・・・

何しろ娘は宿題は出されたらすぐ、基本的には学校にいるうちに済ませてしまう子だったのです。だからわかり切った宿題をギリギリまでやろうともしない母をバカにしていたみたいです。

あと、最近のことで言えば「エクセルくらいできるようにならないと」と言いながらもうすでに20年以上が過ぎても使えていないこと、とか。娘が勧めてくれた本を読まないこと。すぐに「わからない」ということ。

(PCやスマホの操作でトラブルとすぐに娘に訊く) 娘はなんでも自分で検索して自分で解決法を探し出したり、よりよい方法を見つけていくのに、それをしないところ・・・

保育士試験なども4月に試験を受けることにしてその年の夏の試験で10科目、一発合格してしまった(ほぼほぼ全科目最低ラインの点で、絶対ダメだと思っていた2科目が、まさかの出題ミスで全員点数がもらえてセーフとか・・・)、と言う中途半端な頭の良さとかラッキーがあったため、なんとな~く勉強もしてた気がしていました。

でもよくよく考えたら当てずっぽうだったり、ほかから得た知識で本当にその科目について勉強はしていないんだな、と。

私はクイズ番組は結構得意です。DSの「オトナの常識」なんかもメッチャいい成績です。でも・・・雑学はできてもやっぱり勉強はしてこなかったので勉強はできないんだな、と実感しています。

そう、どう考えても私は勉強ができないし、そもそもがやっぱり勉強嫌いなんだと思います