7本指のピアニスト

サワコの朝」で中川悟平さんの回を見ました。(途中から)

素直に演奏に惹かれるものがあり、たまたま図書館に行く機会があったので中川さんの著作「7本指のピアニスト」を借りてきて読みました。

文章を読んでいると、どちらかと言えば軽いタッチでなんだか、とってもラッキーと言うか恵まれているような印象を受けました。

でも、じっくり内容を吟味していくと、とてつもない試練を乗り越えて来た人なんだ、と改めて感銘を受けました。

(私は昔から読書感想文とか苦手で、感じたことをうまく伝えることが苦手で陳腐な言葉しか出てきません m(_ _)m)

もしも、この方がジストニアと言う病を患わなかったとしたら、この人のことは単なる運に恵まれた成功者と言う形でしか知るすべはなかったと思います。むしろ、人の成功が妬ましい、卑しい人間の私は順風満帆とかバリバリに成功している人のことを認めることなどなかったと思います。

私はいつも自分の不運とかうまく行かないことに対して、諦めと言うか虚しさばかりを感じていました。絶望感を味わって、その一方で ある意味、前向き?に努力が足りないせいだ、と自分を責めたり・・・ でも、結局は、いつもそこに留まっていました。

私は努力が好きだ、努力をしていると、その自己満足だけでも味わおう、と

でも、私って一体何を努力したと言うの? 何を頑張ったって言えるの? と、本当に努力をした人の前で打ちのめされた感じです。

この方はどんな時も本当にポジティブな感覚を持ち続けていました。

言葉にしてしまえば簡単かもしれませんが、その言葉の裏にこそ本当に果てしない努力がありました。ポジティブを単純に楽観主義、とだけ表現するのはどこか違う気がします。

もちろん、元々の気質として物事をポジティブに捉えられるのはとても羨ましく感じます。私にはとても無理だと思うからです。でも、だからと言って諦めるのは辞めることにしました。

ネガティブであっても良いのだ、と思います。私はブラックマヨネーズの吉田さんの言動が結構好きです。ネガティブも極めればお笑いになるって感じました。(というか、あの人の場合はとにかく頭の回転の速さに舌を巻くのですが)

私、と言う人間が何なのか、見つめることができればいいな、と思います。

 

ちなみに、この放送と本をきっかけに、あらためて「音楽」の素晴らしさを実感しました。

娘がメンタルをやられて、私自身も追い詰められていて、本当に死んでしまいたいくらいしんどかった時に、私は賛美歌の「ひさしく待ちにし」を大音量でリピートしながら1時間かけて車を運転しメンタルクリニックに通っていました。

この曲だけがまるで救いであるかのように・・・ そして実際に救いでした。

「主よ 主よ み民を 救わせ給えよ」と。

残念ながら私はキリスト教徒でもなんでもありません。かれこれ45年も前の中学生の時に「ナルニア国ものがたり」がめっちゃ好きで、このお話の底辺に流れるキリスト教的な価値観?を知るためにキリスト教について調べたことはあります。大学の時に少しだけ在籍していたコーラス部で宗教音楽に触れて、アベ・マリア、サルヴェ・レジーナ、エレミア哀歌の歌詞はラテン語で今も

暗記しています。でも、正直言って、歌詞の内容は理解していませんでした。キリスト教については今も全く宗教的価値観を見い出せません。むしろあらためて「八百万の神」のありがたみを感じることが多いです。

子どもが小さかった頃から毎年クリスマスにクリスマスキャロルのCDをかけていましたが、それも全てラテン語か英語だったので「きれいな曲」という認識しかありませんでした。それが数年前、図書館で借りてきたCDが日本語の賛美歌集で、そこに「牧人ひつじを」「天には栄え」などが入っていました。そこで私の好きだった曲をやっと日本語で理解しました。このCDの中にあった「ひさしく待ちにし」が、その後、本当に私の命を救うことになりました。あの頃、私はこの曲の洪水の中に沈まなければこの世から消え去っていただろうと思います。音楽の力・・・と簡単には言えないのですが、音楽にはそれほど力があるのだと思います。

おそらく、それまでに何度も聴いていた曲であったとしても、何がどこできっかけとなるかは知れません。他の人にとっては取るに足らないモノ、むしろその時以外の自分にとっても取るに足らないモノ、それが運命を変えるものにすらなりうる・・・

まさに運命なんだな、と思います。

 

私がクラッシック音楽を聴くきっかけになったのはおそらく、子供の頃に母が買ってくれた「ピーターと狼」だと思います。解説付きで、楽器で人や動物を表す、と言うのがとっても斬新だった気がします。あと、小学校のたぶん2年生だったと思うのですが、音楽の授業でやった「軽騎兵序曲」 

中学生になって、成績がよかったらレコードを買ってやる、と言われて頑張ってゲットしたのが「アルルの女」と「軽騎兵序曲」が入ったものでした。

これ以降、時々クラシックのレコードを買ってもらいました。そこで、気がついたのは私は「行進曲」が大好きだということ(笑) そう言えば小学校4年生の時になぜか鼓笛隊に選ばれ(この時の担任に贔屓されていた自覚はある)「軍艦マーチ」をリコーダーで吹いた覚えもあります。リコーダーが苦手だったので泣きながら嫌というほど練習しました。その時はあまり好きでなかった気もしていましたが、今でもソラでふけると思います(笑) そう言えば、トルコの軍楽隊の音楽も大好きです。上皇陛下のご成婚の時の作られた「祝典行進曲」の作曲者が團伊玖磨さんだそですが、お目にかかったことがあります。当時、入っていたコーラス部がよそのコーラス部とジョイントした時、その団の客演指揮者をされていました。先輩が「サインをいただく!」と興奮していましたが、当時の私は無知だったのでへ~と思って見ていただけでした(笑)

考えてみれば、私はあまり、物を調べないし、体系的にも見ない人間なんだなと思います。

これもエニア的なのかも知れませんが、感覚だけです。好き! とか 心地良い!とか

とにかく、その時の自分の感覚だけが全てです。それが何かとか、調べたりするのはいつも随分経ってからです。感情もあとから付いてくる感じです。

私はただ、その時その時、音の洪水の中に身を委ねていたい人のようです。

思い起こせばちょうど30年前になりますが、耳鳴りが始まりました。最初は1日中頭に鳴り響く金属音に気が狂いそうでした。特に夜など静になると眠れなくて

あれほどの苦痛も慣れてしまうものですね。今も耳鳴りは続いていますが気にならなくなりました。でも、やっぱり体調が悪くなると金属音が大きく聞こえます。

なので私にとって音の洪水は今も時々必需品です

その曲の選択肢が増えるのはありがたいのかも知れません