桜の季節

我が家の周りでも桜が満開になりました。

日本に住んでいたら桜は本当にどこにでもある当たり前の花ですが、なぜか本当に桜には色々なドラマがあります。

私が生まれ育ったのは大都市の田舎地域でした。小学校に入学したのは開校二年目でした。私がこどものころ、記憶にある新聞記事がいくつかありますが、その一つの見出しが「緑のない学校に緑を」というようなタイトルでした。六年生の女の子が体操服でスコップで木に土をかけている写真が載っていました。(あとは2年生の時に国道を渡ろうとしていた通学団に車が突っ込んで、友人が巻き込まれ彼女が病院で泣いている姿が写真で載っていた。妹のクラスの男子が新幹線に石を投げた記事も記憶にある・・・)

考えてみると、どこの学校にもかならずある桜は小学校を卒業する頃にやっと見られるようになったという感じです。

中学校はローカルな桜の名所の近くで学校帰りにその山を登ったりしてましたが、夕方になるともう、メッチャ酒飲オヤジがどんちゃん騒ぎしててかなり下品な感じでした。

高校は私は自転車通学でしたが、その通学路が市内でも有数の桜の名所でした。この川のほとりにある産院で私は第一子を出産したのですが、ちょうど4月だったので川一面にピンクの花弁が流れてきて、それはそれはキレイでした。

結婚して住んでいた社宅の入り口にはそれは立派な桜の大木が何本か植わっていてとても素敵でした。

今住んでいる所は30年ちょっと前に引っ越してきましたが、その頃丁度、近くの公園が整備されて歩道に桜が植えられました。これが今、本当に立派になって今住んでいる市の中では桜の名所と言えるくらいになりました。去年は中止になった桜まつりも今年は行われているようです。歩けば5分程度なので、お散歩がてら花見には出かけたりはしていますが、イベントは人出が気になるので今年は出かけませんでした。

何て言うか、桜は「当たり前」な感じです。でも、考えてみれば実家近くは準工業地帯でよく考えれば自然なんてあまりなかったな、と。今から50年くらい前の私が小学2~3年の時には実家の周りにあった田んぼや畑はほとんど姿を消していました。夫の実家は農家なので田んぼや畑の景色は当たり前のようですが、私はむしろ、今の住所に越してきて(30年以上前) まだ近所に田んぼがあることにすごく驚いた気がします。この30年の間にものすごく発展しましたが、今も駅に向かう道にも田んぼが残っています。

私は目の前を国道が走る所に住んでいたので、今のこの自然豊かな環境が逆に馴染めませんでした。静かすぎて眠れない、と感じるくらいでした。なにしろ全盛期には毎週、暴走族の爆音にさらされていたし、新幹線と私鉄電車も通っていて、大学生の頃には近くに高速道路もできたような「街」でしたし、実家の裏には鉄工場があり、そもそも我が家の自営業も、毎日井戸から水を汲み上げる音が絶えることはありませんでした。騒音と振動に関してはかなり鈍くなっていました。

水は商売にとって生命線で昔はよく台風とかで停電になったりしましたが、そうすると莫大な損失が出ました。(停電を面白がって父親にこっぴどく叱られた覚えがあります)

年がら年中、水の音がしているのが我が家でその音がしなくなると母は夜中でも飛び起きる、と言っていましたが、私も結婚して家を出て、水の音がしない環境に慣れるまで大変でした。

結婚してからの人生のほうが1・5倍にもなっているのに、未だに実家にいた頃のことが思い出されます。実家で泊まること自体も、かれこれもう20年はありませんでした。去年の1~2月に20年ぶりに1ヶ月ほど世話になりましたが、今はもう商売もしていないので水の音もなかったし、昔に比べて道路の舗装が良くなったのか、車の音も振動も少なかったように思います。だから逆に落ち着きませんでした(笑)

私の部屋だった場所は妹のタンスがドド~ンとしまい込んでありました。

昔は2階が座敷だったのですが、今は1階に仏壇を移して来て、この部屋で1ヶ月、寝泊まりしました。廊下を挟んで母の部屋があるのですが、この